鳥と実

山に登り、鳥になごみ、手仕事をして暮らしたい

【山旅・鳥旅】オフシーズン狙いで挑む初秋の涸沢カール(2024年9月) | 野鳥と生きもの編

今回は、9月半ばの涸沢カール遠征で出会えた鳥と生きものの記録です。

高山でお馴染みのあの地味鳥さんを、自分史上最高に可愛く撮ることができました!
 

普段探鳥で散策している方や、低山でバードハイクを楽しむ方向けに各ポイントで会えた鳥や、バードウォッチングのしやすさなどについてお伝えします。

Day1、Day2はコチラ ↓
Day1: 計画と上高地から横尾まで
Day2: 涸沢登山

 

上高地の自然の情報収集にオススメ ↓

www.kamikochi-vc.or.jp

記事の最後にデータをまとめています(記事中の情報は2024年9月時点のデータ)


岳沢湿原

河童橋を渡り梓川右岸を歩いて15分の岳沢湿原では、独特の透明感のあふれる水辺の景色が楽しめます。水に張り出した舞台からの眺めが美しい。

バスターミナル近くのインフォメーションセンター他、各施設で買えるポケット散策マップ(100円)が便利。旅の記念にもなります
https://www.kamikochi.or.jp/enjoy/walking_map/
 

水面にはキセキレイ。若鳥たちが元気に追いかけっこ。

上高地らしい立派な枯れ木には、遠目からでもそれとわかる得意のポーズのゴジュウカラ。森林を背景に絵になるアオサギ先輩も。

ここから明神までの遊歩道では、周囲の木々からカラ類の元気な声。シジュウカラヤマガラコガラゴジュウカラエナガがいました。今回夏鳥は終了していましたが、針葉樹と広葉樹が混ざる渓流沿いの明るい林はキビタキオオルリが好みそうな環境。

木道は譲り合って通行するので落ち着きませんが、土の道では立ち止まってゆっくり鳥探しができそうです。

通行止め(2024年9月現在)の左岸ルートが再開すれば混雑は解消されると思います。ちなみにこちらは広い道。以前5月に来た時はコマドリミソサザイの声が聞こえました
 

明神

おすすめのカフェ

爽やかな音をたてて流れる沢や、水辺の上にかけられた木道が続き、河童橋から1時間と少しで明神に到着。この辺りは5月にはニリンソウの群落となり、とてもきれいでした。アップダウンが多少ありますが、観光客の方々の足元はスニーカー。

明神には穂高神社奥宮や山小屋があり、名物は嘉門次小屋の薪き火であぶった岩魚ですが、私のおすすめは本格ケーキが楽しめるカフェ・ド・コイショ。雰囲気のいい山小屋風のお店の窓辺で景色を眺めて一息つくのにぴったり。今回はあいにくの定休日…。またいつか行きたいな。

山のひだや カフェ・ド・コイショ → https://yamano-hidaya.com/

水鳥が見れました

明神池は穂高神社の拝観料がかかりますが、他にもいくつかある水場にはオシドリマガモ。どちらもエクリプス。オシドリのエクリプスはクチバシの色で判断するそうで、赤っぽい色だと雄。ちなみに以前来た時はテンも見ました。

オシドリ / マガモ
上高地は夏でも冷涼なため、マガモが渡らずに繁殖するそうです
 

徳沢

明神以降は人が減り、ほぼ登山者に。広い林間コースでは静かに鳥観察ができそう。ただ背の高い木が多く、カラ類などを見上げる感じになるかもしれません。

かつて牧場だった徳沢は、芝生が広がる明るい雰囲気。おしゃれな山小屋ではランチやカフェが楽しめます。

徳沢園のみちくさ食堂。ピザとソフトクリームが人気

キジバトがとまっているのは古い桜の木?アカゲラも来そうな予感…

徳沢までは片道約2時間。探鳥しながら歩くともっと時間がかかるし、慣れていないと結構疲れるかもしれません。ここまで来れば河童橋の喧噪とは無縁の山合いの雰囲気。山小屋に泊まってゆっくり過ごす手も。

宿泊した徳沢ロッジはホテルのように快適。個室もあります。バス・トイレ・洗面が共用など多少の不便はありますが、夜9時に消灯して過ごす深い夜、鳥の声で目覚めた早朝に眺める朝日が当たる山並みなど、山小屋ならではの体験も味わえます
 

横尾

横尾までも同様の林間コースで、所々梓川の広い河原が現れます。砂地に咲いていたフジアザミアサギマダラがいました!今年初。ふわりふわりと飛ぶ姿に透明感のある翅はやっぱり美しい。近くではキセキレイの姿も。

横尾大橋。朝ごはんをくわえたハシブトガラス

横尾から先は登山の世界。もし低山歩きに慣れている方であれば、本谷橋までなら高尾山3号路のような雰囲気のハイキングが楽しめます。一汗かいたら本谷橋の清流と間近に感じられはじめた山並みを眺め、往復2時間。ただし横尾まででもスタミナが必要なので、体力に合わせた計画を!

本谷橋まで来て、さらなる高みを見てみたい!となったら、登山経験を積んで是非挑戦を。自分の足でたどり着く涸沢カール。圧巻です…
 

涸沢登山道

メボソ撮るなら9月の涸沢!

登山道では声はすれども鳥の姿が見えることは少ないのですが、今回、ほぼ初見の鳥にお目にかかることができました!高い山の針葉樹林帯で必ずといっていい程耳にする「ジュリジュジュジュリ…」の声の主、メボソムシクイです。

暗くて高い針葉樹の中では影になり、冬に低地にいてもさえずらなければ誰ムシクイ?? そんなメボソの若鳥兄弟(家族?)が、登山道近くの明るい低木で飛び交っているところに遭遇!!

まだ朝早い登山道は人が少なく、ちょうど脇に避けるスペースもある絶好のチャンス。せわしなく動き回るため、ピントよ来ておくれーと念じつつ撮ったのがこちら。

微笑むメボソちゃん

目元と脇には意外と明るい黄色が
涸沢は高山の環境

メボソ以外は耳で探鳥。本谷橋から上がった辺りで行きも帰りもルリビタキのヒッヒッと鳴く声。かなり近いけど、結局見つからず。。

ここからは標高が上がり、ナナカマドダケカンバが増え、カケスの声もよくしていました。さらに登り涸沢近くのナナカマドが繁る斜面ではウソの声も。この他コゲラホシガラスの声も聞こえた気がするも、定かではありません。。

涸沢ヒュッテのテラスでは、なんと憧れのオコジョを目撃!しかし一瞬のことで写真には収められず…。初撮りはお預けとなりました
 

ニホンザル

上高地では、あちこちでサルに会えます。秋の実りの季節が到来し、おサルさん達は食べるのに夢中な様子。人慣れしていますが、近づき過ぎないように注意しましょう。

キノコを大事そうに抱えて食べる

おまけ: 田代湿原~大正池

以前5月に訪れた田代湿原から大正池も参考にご紹介。

梓川沿いを下流に進むと広がる田代湿原。広い草原のような環境でホオジロ類杜鵑類、上空を旋回する猛禽類などが観察できそうです。私が行った時はアオジがいました。地面でカサコソ地鳴きする冬鳥のアオジが、色鮮やかな黄色に変貌し高らかにさえずる姿に感動。明神方面より空いているし、穂高のビューポイントもありオススメです。

さらに進んだ大正池ではマガモオシドリの姿も。河童橋からは片道1時間ほど。バス停もあるので、行き帰りで上手く組み合わせると時間短縮できそうです。

 

これから本格的な秋が到来し、冬鳥もやってくる季節。上高地は例年11月半ばから4月まで閉山となります。終了間際の静かな上高地で冬鳥観察も楽しそうですね♪
 

次回でラスト。山小屋の感想をお伝えします。

見えた鳥・聞こえた鳥

シジュウカラ、ヤマガラ、コガラ、ゴジュウカラ、エナガ
アオサギ (岳沢湿原)
キセキレイ (岳沢湿原、横尾付近の河原)
ハシブトガラス (明神、横尾)
オシドリ (明神)
マガモ (明神)
キジバト (徳沢)
メボソムシクイ (涸沢登山道)
ルリビタキ👂 (涸沢登山道)
カケス👂 (涸沢登山道)
ウソ👂 (涸沢付近)
オコジョ😊 (涸沢ヒュッテ)
ニホンザル
アサギマダラ (横尾付近の河原)
凡例: 😊はじめまして。👂聞こえた鳥。(  )いた場所★記載がない鳥はあちこちで目撃

Trail Data

涸沢標高2,250m
ルート: 上高地(右岸ルート) → 横尾(泊) → 涸沢カール → 徳沢(泊) → 上高地
標準コースタイム約12時間、距離約30.6km、累積標高差のぼり・くだり約1,170m(※距離と標高差は長野県の山のグレーディングを参照)
上高地公式ウェブサイト : https://www.kamikochi.or.jp/
上高地ビジターセンター: https://www.kamikochi-vc.or.jp/

徳沢ロッジ: https://www.m-kamikouchi.jp/tokuzawalodge/
横尾山荘: https://www.yokoo-sanso.co.jp/
長野県 信州山のグレーディング一覧: 
https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangyo/kanko/documents/yamanogure-dexingu_hyou-20210405.pdf

最後までお読みいただきありがとうございます。山旅・鳥旅の参考になればうれしいです。

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