鳥と実

山に登り、鳥になごみ、手仕事をして暮らしたい

【山旅・鳥旅】静寂の雨の尾瀬-紅葉のロングハイク(2023年10月) | 尾瀬ヶ原~尾瀬沼編

尾瀬に到着した日は快晴。鳩待峠から至仏山に鳥探しをしながらちょっとだけ登り(→至仏山の鳥見については野鳥と花編で)、その後、山ノ鼻へ下って宿泊。2日目は尾瀬ヶ原から尾瀬沼までのロングハイクの計画です。

思い描いていた青空に輝く尾瀬とは異なるものでしたが、しっとりとした秋の風景や、雨に打たれながら紅葉の森の中を歩く静かな時間が味わい深く、心に残る山旅になりました。

★前回記事はコチラ → 尾瀬概要・山小屋編

小雨が降る中、尾瀬ヶ原歩きにスタート

買って以来初のレインウェアの出番

前日までは曇り時々小雨予報のところ、翌朝にはあいにくの雨模様。相部屋の方々と雨空を見上げながら朝食を囲みましたが、止む様子もなく…。覚悟を決めて雨用の準備を整え予定通り尾瀬沼に向けて出発。

登山3大初期装備の1つのレインウェア。私もまず買い揃えたもののまだ本格的な出番がなく、上下とも装備して雨の中を歩くのは今回が初となりました。

山小屋を後にして一歩外に出てみると、傘をささずに体に直接当たる雨粒の感覚が新鮮で、森と一体になる感じが意外にも心地よい。幸い小雨程度で風もなかったため、それほど悪くないなぁと思いつつ湿原に続く木道を歩き始めました。

ガスに煙る草紅葉の尾瀬ヶ原歩き

湿原を取り囲む山には白いガスが低く垂れ込め、草紅葉の赤色もうっすら霧がかかり柔らかい雰囲気。薄ぼんやりする森にシラカバの白い樹皮が映えて素敵です。

尾瀬の紅葉はヒツジグサも有名です。こちらはちょうど見頃で黄色くなった丸い葉っぱが池塘にいくつも浮かんで可愛い。

尾瀬ヶ原歩きは約2時間

湿原の一本道にさすがに飽きてきた頃、見晴に到着。ここには山小屋が集まりカフェもありますが、雨で時間も早かったため人影はまばら。びしょ濡れで山小屋に入るのも気が引けて、外のベンチで雨宿りしながら持参したものを軽く食べました。山小屋に置いてあったポットのお湯でいれた温かい紅茶がうれしい♩ちょっと重いけど保温ボトルは持ってきて正解。

見晴には公衆トイレあり。ちなみに尾瀬のトイレはチップ制です。山では小銭が必要なことが多いので、普段から100円玉をストックしています。
 

見晴からは森の中の峠道

白砂峠へ豊かな森の中をハイキング

長く続いた湿原に別れを告げ、「尾瀬沼」の道標に従って森の中へ。尾瀬の森の紅葉は燃えるような赤ではなく、柔らかな黄色。森が雨を受け止めてくれて、体に当たる雨粒の感触もまばらになってきました。湿った木々から森のいい香りが漂います。

しばらくは平坦な木道ですが、じきに土の道に変わり、木の根が混じる山道になってきました。尾瀬沼へは「白砂峠」を越えて目指します。この峠越えルートは展望こそないものの、渓流にかかる橋を渡ったり、ぐっと登って上から沢を見下ろしたりとバリエーションがあって楽しい。ミソサザイにも会えました♩ 明るい沢沿いの森は、初夏には色々な夏鳥に会えそうな予感。やっぱり水芭蕉の季節にも来てみたいなぁー。

静寂の白砂湿原

次第に登りが始まり、最後は岩が連なる急登です。ずっと木々に遮られていた空が広く明るくなると白砂峠に到着。この後、白砂湿原へと下る最後の急下降が現れました。急で丸い石がゴロゴロしている石組みの下り坂に雨水がザーザー流れて川のようになっていて、ものすごーく滑りそう!!! 所々に浮石も。絶対に怪我しないよう1歩1歩、本当に慎重に脚を運びました。

急降下の後、木の葉のゲートをくぐると広がる白砂湿原

下りきったら峠が終わり、別世界のような湿原の光景が目の前にいきなり広がりました。白砂湿原は霧が流れる音さえ聞こえてきそうな程の静寂。人っ子一人いない静かな湿原にノスリが1羽飛んでいて、とても絵になる風景だったのですが、急降下の緊張からいきなり広がった景色に、写真を撮るのを忘れて立ち尽くしてしまいました…。

静寂の白砂湿原を取り囲む森の木々

いくつかベンチがあり、ちょうど雨が止んでいたので少し休憩。こちらの峠越えのルートは、雨のせいか、すれ違う人も数える程度で静かな森との一体感が味わえとても良かったです。燧ヶ岳はもちろん至仏山もちょっとハードに感じる私のような登山初級者には、軽い山登り気分も味わえて楽しめました。

今回の尾瀬歩きでは、白砂峠の森林ハイクと、その後に広がる白砂湿原の静寂の風景が一番心に残りました!
 

尾瀬沼は広かった

見晴から標準コースタイム約2時間半で尾瀬沼の沼尻に着きます。スタートからすでに4時間半…。でも、まだ山小屋まで尾瀬沼半周あります。

尾瀬沼は「沼」と付くのであまり大きくないイメージでしたが、対岸が霞むほど広い!一周歩くと約2時間半。沼尻平にある休憩所は、屋根付きの広いテラスとトイレがあります。飲み物と甘い物を扱うスタンドもあるようですが、この日は閉まっていました。

休憩所のテラスから尾瀬沼を見渡すとアオサギが見えました。霧で煙る景色に佇むアオサギ先輩は水墨画のようで美しい!

尾瀬沼北岸線はよく整備されたコース

沼尻平は分岐となっていて、今回はビジターセンターを通る北岸コースにしました。ほとんど人に会わなかった白砂峠に比べ、沼尻平にはガイドツアーや外国からの旅行者もいて急に人影が増えました。

北岸はよく整備された木道が続きます。所々で木立の合間から沼が見渡せ、水鳥を探しながら歩きましたが、段々疲れが出てきて最後の方は黙々と足を運ぶのみ…。雨が強まり寒くなる中、ようやく中心エリアの大江湿原が見えてきました。ここで福島側玄関口の沼山峠からの道が合流し、ビジターセンターや山小屋が並んでいます。

この辺りでコーヒーとケーキを食べようと計画していましたが、残念ながらちょうど営業が終わった時間。疲れたし早く乾いた場所で休みたい一心で少し離れた尾瀬沼山荘に向かい、無事3時過ぎに到着!

長かったー。この日の歩数計は28,791歩(20.7km、5時間18分)。雨でとにかく木道が滑るので、転ばないように注意しながらの歩行となり余計に消耗しました。

林の中で見たナナカマドときれいな苔

初の雨の山行で気づいたこと

はじめてレインウェア上下を着込んでの雨の山行で気づいたことを、簡単にメモしておきます。

  • 顔が冷たくなる気温でもレインウェアで歩くと寒くなかったので、夏山では確実に蒸れそう。中に着るウェアは1枚少なめを検討。
  • レインウェアの各パーツの使用方法を確認。購入時に説明書を読んだけど忘れてました…。
  • 手は濡れるので寒い。防水の手袋が必要なのかな?
  • レインカバーをかけるリュック本体は容易に荷物の出し入れができない。飲み物、行動食、小銭、ティッシュ、タオル、濡れた物を入れるジップロック等は出しやすい場所に。
  • ヒップベルトのポケットは水が浸みる。
  • フードで周りの音が聞き取りにくくなるので、熊などの動物に注意!
  • ベンチが濡れて休憩が少なくなりがち。意識して休憩を挟むこと。
  • 濡れた木道は転倒注意!!! 腰がヤバそうなおじさまを見かけました。。私も最終日についに滑って手首をぶつけました。怪我はしませんでしたが、双眼鏡に不調が…。

最終回「野鳥と花編」に続きます…

Trail Data

尾瀬ヶ原標高1,400m、白砂峠標高1,680km、尾瀬沼標高1,665km
ルート: 山ノ鼻 → 尾瀬ヶ原 → 見晴 → 白砂峠 → 尾瀬沼 → 大江湿原 → 三平下
タイム5:18、距離20.7km
尾瀬財団
https://oze-fnd.or.jp/
環境省 尾瀬国立公園
https://www.env.go.jp/park/oze/

尾瀬へのアクセス (東京パワーテクノロジー株式会社)
https://www.tokyo-pt.co.jp/oze/access

最後までお読みいただきありがとうございます。山歩きの参考になればうれしいです。