鳥と実

山に登り、鳥になごみ、手仕事をして暮らしたい

【山旅・鳥旅】夏の終わりの乗鞍岳-雷鳥探した3日間(2023年8月) | Day2

乗鞍岳登山の2日目。早朝ご来光を見て、剣ヶ峰に登った旅のハイライトです。
※Day1の様子はコチラ→ 夏の終わりの乗鞍岳-雷鳥探した3日間 | Day1

※記事の最後にデータをまとめています

感動のご来光

朝4時半、大黒岳に向けて出発

今回は初の山小屋泊。山に泊まった人だけが見られるご来光を楽しみにしていました。夜の間ずっと強い風の音がして心配でしたが、雨は降っておらず、予定通り大黒岳に向けて暗い中を出発。

大黒岳の登山口は、白雲荘から舗装道路または鶴ヶ池沿いの砂利道を10分程。登山口から頂上の展望広場までは15分くらいで登れます。同じ山小屋の人たちがなんとなく一緒になって歩いていくので、不安もなく。ただ熊鈴だけはしっかり鳴らしていきました。

「ご来光バス」という乗鞍岳に早朝到着するバスがありますが、2023年は乗鞍スカイラインの運休に伴い実施されませんでした。
※ご来光バスについて → ご来光 - 乗鞍岳、乗鞍スカイライン公式サイト
 
薄暗い中、初めてのヘッドライト装着

大黒岳は始め階段で、その後なだらかな登山道となります。暗い中、初めてヘッドライトをつけての山道でしたが、問題なく歩けました。

登っている内に次第に空が薄明るくなり、夜明け間近の黒い空に赤い色が見え始めました。朝日がどれくらいのスピードで登ってくるのか予想がつかず、焦る気持ちを落ち着かせつつ登っていきます。

山頂展望広場に着くと、白み始めた遠くの山並みが薄紫色にうっすらと見え、空は見たこともないような濃い赤色に染まってきました。

圧倒的なご来光の登場

高台はさらに強風で、持ってきたダウンを着込みましたが、その間にも刻一刻と変化する空の様子に目が離せません。どちらを向いてもそれぞれ素晴らしい景色に目を奪われキョロキョロしていると、誰かの「出るぞっ!」という声が。

慌てて振り返ると、ついに雲の間から太陽が一筋の強い光を放って登場。

耳にまとわりつく強風のビュービューいう音とまばゆい光のシャワーに包まれて呆然としている内のあっという間の日の出でした…。都会で暮らす日々でも毎日変わりなく昇っている太陽が、大自然の中ではこんなにも美しく輝くとは!

ちょっと不安だった山小屋にチャレンジして本当に良かったです。

初の3,000m級!剣ヶ峰に登頂

肩の小屋まではなだらか

ご来光の後、一旦小屋に戻り朝食と準備を済ませ、今度は主峰の剣ヶ峰に向けて出発。相変わらず風は強いものの快晴で、寒くもなく山登りにはちょうどいい気温。

マイカー規制のため1番バスが着く前の登山道は、いくつかある小屋に泊まった人だけの贅沢な時間。途中、肩の小屋まではなだらかな砂利道で、小屋で相部屋だった方とおしゃべりしながら登っていきました。

岩ゴロゴロの登り

肩の小屋で一緒だった方に先に進んでもらい、ここからは一人で登っていくことに。これ以降は本格的な登りになります。最初は階段状の砂利道で余裕がありましたが、ほどなく大きな岩がゴロゴロ積み上がった急な登りが登場。

呼吸が苦しい中休み休み登っていくと、ようやく急登の終わりが見えてきて、登った先は真っ直ぐの道のようです。あそこまで行けば!とがんばって登りきり、ほっと一息ついたものの、実はここからが恐怖でした。。

ガイドブックや登山YouTubeなどでは、「初心者でも大丈夫♩」というようにさらっと登っていくのですが、実際のところ私には結構大変でした…。
 
恐怖の突風ゴォォォー地帯

なだらかな稜線に出た途端に、横からの激しい突風!!! 遥か下に見える権現池方向から吹き上げてくる風の通り道になっているようです。

長い人生でも経験したことがないような強風。例えて言えば、台風の日のビル風で一瞬足を踏ん張るようなあの突風がコンスタントに吹きつけてくる~。足元はザレザレの小石で踏ん張りが効かず、森林限界を超えて木も生えていなければ岩もほとんどなく、つかまるところがありません。

これは退避した方がいいのか?と本気で悩み、あまり身を隠せもしない小さな岩の脇にしゃがみ込んで他の登山者を観察。登山者は少ない時間帯でしたが、ちらほら来る人は風に一瞬よろけつつも普通に登っていきます。途中まで一緒だった同じ小屋の方も登ったのだから、これは大丈夫なヤツだと判断して登山再開。

道幅は広いものの両側は切り立った崖。バランスを崩したら亀のように這いつくばろうと身を屈め、風でよろけたとしても谷までの余地がある道の風上側を一歩一歩進みました。

「バスでアクセス♪手軽に登れる北アルプス」とはいえ、3,000m級の山岳地帯の自然は厳しかった…。ほんの少しの距離だったけど恐怖でした。

ついに剣ヶ峰山頂へ

頂上には乗鞍本宮のお社があります

突風地帯を慎重に通り抜けるとまた岩登りが現れますが、今度はひと登りしたら、ついに山頂に到着!やった!登れた。

剣ケ峰山頂と、突風が吹き上げていた権現池

頂上にあるお社で無事に登れたお礼と、今後の安全登山を祈願しました。

山頂のスペースは狭いので頂上小屋付近まで降りて、槍ヶ岳などの雄大な山並みが見渡せるベンチで休憩。まだ早い時間でベンチも空いていたので、おやつと飲み物でゆっくりとくつろぎながら目の前に広がる絶景を堪能しました。

頂上小屋で記念バッジを買いました♩

山頂直下にあるオレンジ色の屋根の頂上小屋は、大正6年(1917年)開業だそうです。そんな昔にこんな場所に小屋を建てる!?ちょっと意味が分かりません。。

山頂直下からの眺め。左下の建物が頂上小屋

こちらではオリジナルのバッジや手ぬぐいなどが売っています。ライチョウとコマクサが描かれた記念バッジは、年によって色が変わるそう。

今年2023年はグレー。好みの色だったので記念に買いました。台紙に登頂日のスタンプを押してくれるのがうれしい♩
 

もう次はいつ来られるかわからないと思ったら、いつの間にかバンダナも購入していました…。ライチョウやツキノワグマ、オコジョなど乗鞍にいる生き物大集合の力強いデザインです!

下山はあっさり

名残惜しいですが、次第に人が増えてきたので下山開始。恐怖の突風ゾーンは風がやわらいでおり、あっさり通過。岩ゾーンもとっとと進み、穏やかな地形の肩の小屋へと戻ってきました。この時間になるとたくさんの登山客で大賑わいで、人がまばらで素敵だった朝の雰囲気とはだいぶ違う観光地になっていました。やっぱり山小屋に泊まって大正解!

肩の小屋前にはベンチとテーブルがあり、肩の小屋の中でも軽食が食べられます。きつねうどんを頼んだら、温かいうどんがほっとして美味しかった~。

帰りは富士見岳を経由

まだお昼すぎなので、帰りは富士見岳を経由することに。不消ヶ池の手前にある登山口から10分程度で登れ、頂上は狭いものの、ぐるっと360℃の眺めを楽しめる山です。「富士見岳」の名前通り富士山が見えるかもと探しましたが、見つからず…。

この辺りはコマクサがたくさん咲いていました。8月末でコマクサはもう終わっているだろうと思っていたので、会えてうれしい♩

下りは結構急坂でザレて滑りやすく、登山後に疲れた足ではコントロールしづらかったです。降りてくると最高所記念デザインのバス停に出ました。

早朝のご来光にはじまり、3,000m級高山の厳しさに触れた剣ヶ峰登頂。大自然のすばらしさに圧倒された大冒険の1日が終わり、山小屋に戻ってのんびりしました。

Trail Data

乗鞍岳剣ヶ峰標高3,026m
ルート: 畳平 → 剣ケ峰 → 富士見岳 → 畳平
タイム2:49、距離5.5km、のぼり424m、くだり424m (Yamap標準データ)
乗鞍岳について(乗鞍スカイラインHP)
https://norikuradake.jp/about/

乗鞍岳バスターミナル
http://norikura-bus.com/

のりくら観光協会公式サイト
https://norikura.gr.jp/
アルピコ交通バス 松本~新島々~乗鞍
https://www.alpico.co.jp/traffic/local/kamikochi/norikurakogen/
乗鞍白雲荘
https://norikura-hakuunso.jimdofree.com/

最後までお読みいただきありがとうございます。山歩きの参考になればうれしいです。