
「もう2度と行けなかったとしても後悔しないほど楽しみ尽くそう!」をテーマに燕山荘連泊で満喫した昨年9月の燕登山の記録。最終回は、ライチョウほか燕岳で出会った動植物の記録です。
過去2回はコチラ ↓
記事の最後にデータをまとめています。記事内のデータは登山当時の2025年9月のもの。
夢が叶う!
過去3度の雷鳥チャレンジ
山を登りはじめた頃、山小屋泊は高いハードルでした。当時は衝撃的な山小屋体験談を聞く時代。そんな折、コロナ禍で状況が一変。山小屋側はパーティションの設置や収容人数の減少などの対応に追われ、登山者側も値上げや予約困難などマイナス面も増えたと思いますが、この変化により自分にとっては山小屋泊という選択肢が開けました。
最初に泊まった山小屋は乗鞍岳の白雲荘さん。2泊するし甘く考えていましたが結局ライチョウには会えず…。帰りのバスの車窓から山を見上げ、いつか自分の脚で高い山に登ってライチョウを見てみたいという夢がふつふつと湧いてきました。
翌年向かった立山の室堂。付近は山というより観光地。建物が立ち並ぶ風景の中、到着して数時間であっさり会えたライチョウには思ったほどの感情は沸き起こりませんでした。
夏山遠征3年目の昨年、まずは木曽駒ヶ岳へ。ギリギリまで天気予報を確認して出かけたはずが、まさかの小雨真っ白ガスガスで何も見えずに撤退…。
1960年代にはこの山域では絶滅した考えられていた中央アルプスの木曽駒ヶ岳で1羽のメスのライチョウが目撃されたのは2018年のこと。研究により、その個体は乗鞍岳から決死の飛行でやってきたことが判明。その後の保護活動が実り復活を遂げた中央アルプスのライチョウは、徐々に生息数が増えているそうです。
反対に乗鞍のライチョウは減少し、昨年の繁殖のなわばり数は過去最少とのこと。温暖化による積雪減少、キツネやテンなどの捕食者の増加、人間による高山植物の踏み荒らしなどが影響していると推察されますが、詳しい原因はまだわかっていないそうです。自分にできることは何か、考えさせられます。
詳細は下記リンクをご参照ください ↓
中村浩志国際鳥類研究所 - 日本の野鳥を守る
乗鞍岳のライチョウのなわばり、半世紀で最少に 環境省が報告 [長野県]:朝日新聞
ついに自分の脚で登ってライチョウに会う!
過去3回は探鳥地まで乗り物でアクセス。木曽駒は山登りですが、乗鞍と立山は散策程度でも出会える場所。そして今回の燕岳。北アルプス3大急登と言われる合戦尾根を上り、標準コースタイムは上りのみで約5時間。作戦を練り自分の脚で登り切った先の燕山荘で、時間や場所を変えてじっくり探鳥しました。
記事掲載のライチョウ写真は、基本的に離れた位置から望遠レンズで撮影しトリミングしています。なお掲載は撮影順ではありません。また撮影ポイントや時間帯など詳細は控えさせていただきます
念願の…!

ライチョウを探して左右を見回しながら歩いていると、前方からひそやかなクゥクゥという声。ん?今、何か鳴いた?と思ったら、まさかのライチョウたちが登山道をトテトテ行進してきた!人工物がない大自然の真っただ中、しかも自分1人しかいない状況での対面。ついに夢がかなった瞬間です。
岩場ですぐに後退りができず、驚かさないようにしゃがみ込み興奮を抑えてじっとしていると、どんどん近づいてきて、何この邪魔な物とでも言いたげな怪訝な表情で見上げてきました。普段の探鳥の経験からここを通りたいんだろうなと察して、いつものごとく気づかぬふりして視線をそらせ体の向きも変えてあげたら、すぐ脇をすれ違ってハイマツの中に潜っていきました。

警戒!


彼らにとって安全なシェルターのようなハイマツを出て砂礫ゾーンを渡る時は、捕食者に見つかる危険度アップ。ハイマツからそっと顔をのぞかせて周囲を確認したら、身を低くして大急ぎで砂礫の川を渡渉し、向こう岸のハイマツに駆け込みます。
多くの野生生物のようには人間を恐れないため警戒心が低いイメージを持たれがちですが、実際観察すると常に周囲に目を配って行動していることがわかりました。

サービス満点と勘違い…

何度も視線を向けて上空の猛禽の影を警戒。数羽の親子を観察中に、なぜかこの1羽が私の正面の位置でとどまりました。なぜわざわざそこに?と疑問でしたが、どうやら理由があったもよう。
恐らくこれはお母さんで、自分に興味を引きつけることで若鳥たちを守る行動だったのではないでしょうか。気づかなかった自分に反省。


コケモモの実を食べる

9月頭の高山はもう秋の木の実が熟しはじめる頃。ピンボケですが、コケモモの実をついばむ瞬間が撮れました。
ライチョウが暮らす高山帯は一見ハイマツと砂礫のみに見えますが、よく観察すると多様な植物が生育していることに気づきます。ジャムでお馴染みコケモモなどツツジ科の低木や苔・地衣類、イネ科風のシュッと細い葉など。
ライチョウの食べ物は主に植物で、高山帯という過酷な環境で生き抜くために花・芽・果実・種子・葉・茎と様々な部位を利用するそう。また雪上に落ちたハエやガの仲間、アリやクモ、バッタの一種など動物性のものも食べるそうです。上の写真でライチョウの右上にシャクナゲが見えますが、食べ物が少ない時期にはこの葉も食べるそう。こんなおいしくなさそうな硬い肉厚の葉っぱも食べるとは…。
ライチョウ見守りネットの記事がわかりやすかったです ↓
https://raicho-mimamori.net/jp/ecology/feed.html

オスが登場

メスのライチョウを観察していると、脇のハイマツの中からぬっとオスが登場。明らかにメスとは異なる黒っぽい体色で一目でオスとわかりました。ちなみに目の上の赤い肉冠はオスだけでなくメスにもあるので、この部分の有無だけでは見分けられないそうです。
それにしてもハイマツの中に隠れていると全く気づきません。ハイマツの枝をつたって移動する時もパキパキもカサカサも何の音も聞こえない。よくカエルに似ていると言われる鳴き声も基本的にはオスが繁殖期に縄張り争いで主張する声だそうで、ひそやかなクゥクゥと喉を鳴らすような声がたまに聞こえる程度。

その他の動植物の記録
鳥さんたち

ハイマツの木陰でお休み中のカヤクグリの若鳥。周囲に親きょうだいはいなさそうだったので、ひとり立ちしているのかな。大好きなカヤクグリもハイマツの住人です。

カヤクグリに似ているイワヒバリ。夏は同じような高山帯にいてセットで見かけることが多い2種。冬には低山まで下りてくるようですが、YouTubeの探鳥動画で冬にカヤクグリに会ったという場面はたまに見ても、イワヒバリに会ったというのはまだ見たことがないような…?もしかしたら夏は同じ場所にいても、冬に好む環境は少し異なるのかもしれませんね。

ツバメ。たぶん普通のツバメかな?縦走路で上空に数羽が弧を描いているのを見て「なるほど!ツバメが飛び交うから燕岳か」と妙に納得したのですが、調べたら駒ヶ岳などと同様のネーミングで、春の残雪がツバメのような形になることが由来だそう。。

ホシガラス(証拠写真)。谷底から吹き上げる乱れた強風に翻弄されながら飛んでいきました。9月に入ると実ったハイマツの松ぼっくり目当てにやってくるので、この稜線でもたくさん見られたりするのでしょうか?ちなみに集めた松の実を頬袋ならぬ喉の辺りに貯めて移動し、少し標高が低い辺りに貯食するそうです。喉をパンパンにして飛ぶ姿を見てみたいです!
虫さん

キベリタテハ。ビロードのようなえんじ色の翅がゴールドで縁取られ、ブルーの斑点模様がある優雅な貴婦人のような蝶。本州では標高1,000mを越える高い山で見られるそう。

植物たち

イワウメ。岩陰が一面ツヤツヤの極小の葉っぱで埋め尽くされ、集合体恐怖の私はゾワッとしてしまいました。花期は7-8月とのことで、見頃終わりでした。

クロマメノキ。日本に自生するブルーベリー。ライチョウも食べるし、ツキノワグマの好物でもあるそう。

燕山荘から燕岳に向かう途中のコマクサの群落。9月頭には、ほぼ終わりかけ。保護のためロープで囲ってあるにもかかわらず写真を撮りに踏み込む人が後を絶たず、数が減ってしまったのだとか。

燕山荘直下は緑豊かなお花畑。青いお花はトリカブトの一種かな。お花畑を抜けて燕山荘が立つ尾根まで登ると、反対側はハイマツと砂礫の急峻な山岳風景に一気に様変わり。そのドラマチックな変化も、燕山荘人気の舞台装置の1つのように感じました。
昨年の道路崩落事故をきっかけに、目当ての山に登れる機会はそうあるものではないのかもと気づき、毎回の山行を大切にしようという思いで登った燕岳。この夏、土石流で橋が流出し、まさかの2年連続で登山口へのルートが閉ざされてしまいました。あの時、仕切り直して来年に計画しようと思わず、えいっと実行に移しておいて正解だったなぁと改めて感じました。なお、脅威のスピードで橋は復旧し、現在はまた中房温泉口から登れるようになりました。関係者の方々、凄すぎる…。ありがとうございます!!!

燕岳標高2,763m
ルート: 中房温泉登山口 → 合戦尾根 → 燕岳のピストン
コースタイムのぼり5:20、くだり3:40 累積標高差1270m (Yamap実績値)
燕山荘HP
https://www.enzanso.co.jp/enzanso
中房温泉行定期バス (南安タクシー)
https://nan-an.co.jp/nakabusa/
最後までお読みいただきありがとうございます。山登りの参考になればうれしいです。
野鳥刺繍のお店 ToRi to me \ Please visit☺ /→
こちらの記事もどうぞ ↓