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【山旅・鳥旅】駒ヶ根前泊で登る木曽駒ヶ岳(2025年8月) | ②霧の千畳敷カールと撤退

8月頭の平日に駒ヶ根市街に前泊して登った木曽駒ヶ岳の記録。2回目は、木曽駒登山編です。結果からお伝えしますと、濃霧と強風により途中撤退となりました。

 Point

眺望ゼロ、本命のライチョウにも出会えず撤退しましたが、霧に煙る幻想的な千畳敷カールのお花畑や高山の野鳥に会え、静かな木曽駒を堪能できました。今回は、美しい霧のお花畑、高山病対策、急登を楽に登るコツ、撤退判断などについて綴ります

登山口までのアクセスや混雑状況についての①はこちら → 
登山歴はプロフィールをご参照→
記事の最後にデータをまとめています(記事中の情報は2025年8月時点のデータ)
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霧でも美しかった千畳敷カール

晴れを信じて疑わなかったのに…

平日の始発バスに乗車し、混雑に巻き込まれることなく千畳敷駅に着き登山開始♪ のはずが、まさかの雨…。天気予報を確認して直前に予約し、前日の駒ヶ根散策も文句なしの晴れ。なんなら朝ホテルを出た時だって晴れていたのに!

とりあえずは建物内の窓際のカウンター席に落ち着き、まずは朝ごはん。その間に行動プランを決めました。ちなみに待合は待機する人で大混雑でした。

高山病対策

千畳敷に着いたら朝ごはんというのは、元々の計画通り。高山病対策として、すぐには登り始めず小一時間の休憩を取ろうとスケジュールを組んでいました。

気圧差に弱いので、駒ヶ根前泊も高山病対策の一環です
 

食べている内に頭の中も整理でき、霧雨程度だし、周囲の登山者の状況を見つつどこまで登るかを判断する方針に。

出発前に売店で見つけたライチョウ柄のMOKUのタオルをお買い上げ。どの程度の雨量になるかわからず、行動中用の手ぬぐいのほかに乾いたタオルが1枚あると登山後にだいぶ助かりますよね。

雷鳥の保護研究活動をされている中村浩志国際鳥類研究所とのコラボデザインで、「売上の全額(諸経費を除く)がライチョウ保護活動に使われます」とのこと。割高でしたが、雷鳥保護にわずかながらも貢献できて、取り出すたびに温かな気持ちになれる良いお買い物ができました
 

見たかった青空のイメージで。冬毛のライチョウさんも映えますね

 MOKU Light Towelはコレ ↓
最近、山のお土産売り場でも見かけるMOKUタオル。他にも色々なカラーがありました

霧の千畳敷カールへ

レイン装備を整えて一歩外に踏み出すと、雨は止んでいて意外と明るい。まだ人影はまばらで、左右には静寂のお花畑。

水滴がキラキラ輝く瑞々しい高山植物があまりに素敵で、思わず「わぁっ…」と声が出ました。千畳敷カールはその地形とそびえる山岳のイメージしかなく、斜面がこれほどのお花畑とは知りませんでした。チングルマの綿毛に、イワギキョウのブルー、白や黄色の小花たち、青々とした実を付けるナナカマド…。

上: チングルマ / 下右: ナナカマド / 下左: サクライウズ?

今回もガスか…と残念な気持ちはあっさりと消え去り、こんなにも美しい霧と露のお花畑を見られて来てよかったー!となりました。

尾瀬に、白馬八方池に、安達太良山。山ではガスがちの私です…
 

上右: イワギキョウ / 上左: 大型のシソ科のなにか / 下: グンナイフウロ?
楽勝だった八丁坂

いつも急斜面の上りに苦戦するため、序盤の八丁坂が個人的に一番の難所と思っていましたが、なんと今回はあっさりクリア。もう乗越浄土?と特段キツイ感覚もなく登り切りました。思い当たるのは、次の2点。

 Hint1: コースタイムを気にしない

「CT〇〇分だから、あと何分のはず…」とつい時計を見がちですが、この天気じゃ頂上へは行けず時間はたっぷり。気の向くままに写真を撮り、鳥を探し、花を愛でながら登ったことが、結果的に適度な休憩と無理のないペース配分につながり、高山病にもならずに元気に登り切れたのではと思います

 Hint2: 目標が視界にない

何度も先を見上げては、山小屋見えた!あれが山頂?と奮い立たせますが、今回は濃霧で目標自体が見えず…。でも逆にそのおかげか、平常心で1歩1歩淡々と登ることで、いつの間にかたどり着いていました

八丁坂中腹に広がるお花畑

もちろんCTやマップの確認は非常に重要ですが、一本道の急登ならば、あえて先は気にせず思うままに足を動かすことが楽に登る秘訣かも?とヒントを得ました。

難所は乗越浄土から先に

宝剣山荘に逃げ込む

途中で下山してきた昨日の高速バスで隣同士だった方に会い、乗越浄土から先は風がすごくて山頂はあきらめたと聞き覚悟した強風。八丁坂では弱かった風が、乗越浄土の稜線に乗ったとたんに吹き荒れました。

これまで体験した一番の強風は乗鞍岳の稜線上の鞍部。それに比べれば平気な風でも、今回は濃霧も加わります。思い描いた宝剣岳や山小屋、にぎわう登山道はどこなのか?白しか見えません…。

標識の先の薄ぼんやりした人影を確認して用心しながら進むと、目の前にいきなり山小屋の壁が。近づくまで全然見えませんでした。宝剣山荘の裏手の一角が風の通り道なのかものすごい強風で、とりあえず山荘で休憩することに。

ここで、100均のビニールカッパ?を着た子供連れのお母さんにロープウェイ駅の場所を聞かれました。強風に煽られたカッパで家族がダバダバダバダバ!!!と爆音を立てる異様な光景。まさか地図もレインウェアも持たずに登った!? 木曽駒は好天であればそれでも来れてしまう山なのかもしれませんが、さすがにどうなんでしょう…
 

宝剣山荘は1時間300円または同額以上のものを注文すれば、小屋内で休憩させていただけました(金額等うろ覚え。間違っていたらすみません)。入口の中扉手前でウェアの水滴を拭いてから入室。真夏だというのにストーブが焚かれ、ほの暖かい室内の安心感ときたら。レインウェアを乾かさせていただきつつ、暖かい飲み物で一息つきました。

濃霧と強風により中岳で撤退

その内に空が多少明るくなり、もう少し進んでみることに。トイレもお借りして再度準備を整え出発。先ほどよりは雨風も霧もマシで、視界も改善。中岳までは斜面で風が遮られ、歩きやすくなりました。

緩やかな登りの後、中岳の高みに上がると再びの濃霧と強風。中岳から木曽駒山頂へは、ゴツゴツの岩の斜面を一旦下った後上り返します。霧で先の見通しが効かず岩の足場ルート判断が難しく、また強風でバランスを取るのに疲れて集中力も落ちてきたので、中岳からの下り始めで撤退を判断しました。残念!

中岳が本日のゴール
戻る途中の岩陰で、山頂のお楽しみに持参した好物の信玄餅を食べる。肌寒いのにアイスコーヒー…

こんな中にも鳥たちの姿が!

探し続けたライチョウに会うことは叶わず、ついに乗越浄土まで戻ってきてしまいました。あぁ、ダメだったか…と肩を落としていると、霧の中からピュリリリピピという鳥の明るい鳴き声が。あれは、イワヒバリっ!!と真っ白の無に目を凝らすと、岩の上をピョンピョン跳ねるイワヒバリのグループを発見。

右: 距離3mでも明るく調整しないとこのボンヤリ具合 / 左: 飛んだ!
イワヒバリは、乱婚といって複数の雄と雌でグループを作り交配しあうことで種を保存する繁殖形態。昨年の7月半ばの立山でも成鳥同士のグループを見かけました。子育ては多夫一妻で行うそうですよ
 

その後、遊歩道付近まで下りてきたところで、岩の上で2羽で向かい合いダンスのような動きをするカヤクグリに遭遇。いつも引っ込み思案な大好きなカヤちゃんを、こんな目立つ近くで見れるとは。

カヤちゃんダンス(イメージ)。興奮して焦ったらピンボケ…

イワヒバリは八丁坂の中腹にも
 Memo

終わってみれば、混雑とは無縁、静かな名山を堪能した贅沢な山行でした。 千畳敷カールは、つづら折りに登っていく途中途中で急斜面から花畑が見下ろせ、密集して様々な植物が混ざり合って咲く素晴らしい光景でした。

東京からのアクセスがよく、ふもとの駒ヶ根市では散策も楽しめ、何より水と空気が清涼。また来ようと思える場所でした。次こそは木曽駒ヶ岳の山頂を踏み、奇跡の復活を遂げた中央アルプスのライチョウさんたちにもお目にかかりたい!

下山後ようやく霧の中から現れた千畳敷カールの全貌
Trail Data

木曽駒ヶ岳標高2,956m
ルート: 千畳敷駅 → 乗越浄土 → 中岳で濃霧と強風により撤退 → 乗越浄土 → 剣ヶ池 → 千畳敷駅
木曽駒ヶ岳山頂までのコースタイム約4時間、標高差約344m
駒ヶ岳ロープウェイWEBサイト : https://www.chuo-alps.com/

アクセス : https://www.chuo-alps.com/access/

ハイウェイバスドットコム新宿~伊那・飯田線 : https://www.highwaybus.com/gp/reservation/rsvPlanList?lineId=130
駒ヶ根観光協会 : https://www.kankou-komagane.com/

最後までお読みいただきありがとうございます。山旅・鳥旅の参考になればうれしいです。

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